「糖質ブロッカー」「いくら食べても太らない」などと言われる白インゲン豆は本当に効果があるのでしょうか？

減量は食品健康の分野で最も魅力的なトピックです。さまざまな「ダイエット魔法の道具」が次から次へと登場し、人々を驚かせています。その中でも「白インゲン豆エキス」は大変人気があります。

食事の前に白インゲン豆エキスを2カプセル摂取して、太らずに好きなだけ食べてみませんか？ |アマゾン

白インゲン豆エキスとはいったい何でしょうか? 「これを食べれば太る心配はありません」というのは、販売業者の単なるマーケティング戦略なのでしょうか、それとも本当なのでしょうか？

長すぎて読めない

「白インゲン豆エキス」は、アミラーゼの働きを阻害し、体内でのデンプンの吸収を阻害することでダイエット効果を発揮する特殊な糖タンパク質です。

販売業者が添加する白インゲン豆エキスが実際にどの程度の活性を持っているかは不明です。

白インゲン豆抽出物は炭水化物阻害にのみ効果がありました。さらに、減量のためにそのような製品に盲目的に頼ると、必要な炭水化物の摂取量が減り、健康に害を及ぼすことになります。

健康食品から「炭水化物ブロッカー」へ

白インゲン豆の学名は「Phaseolus vulgaris L.」です。野菜として栽培される場合は、インゲン豆と呼ばれます。マメ科の3大亜科のひとつ、マメ科インゲンマメ属に属します。

私たちがよく食べるインゲン豆は、Phaseolus vulgaris の別の品種です。 H. ゼル / ウィキメディア・コモンズ

その祖先はメキシコとアルゼンチンの熱帯および亜熱帯地域で育ちました。その後、改良と栽培化を経て、白インゲン豆は寒くて湿気の多い高原地帯に適応し、さまざまな花の色と形に進化しました。

豊富なカラーバリエーション |参考文献 [1]

白インゲン豆は16世紀後半まで中国に入ってきませんでした。農業が得意な中国人の手によって、白インゲン豆は急速に広まり、今では中国全土で栽培されています。

白インゲン豆の主な栄養特性は、緑豆やエンドウ豆と似ており、タンパク質含有量が高く（通常 20% 以上）、脂肪含有量が非常に低く、デンプン、食物繊維、ミネラルが豊富です。 「雑豆」の一種として、全体的に栄養価が高く、「健康的な食生活」の重要な一部となり得ます。

種子も色が豊かです |リベラ、アナ、他/ 植物科学の最前線 (2018)

もちろん、白インゲン豆が高く評価されている理由はこれだけではありません。

白インゲン豆のタンパク質には、α-アミラーゼの働きを阻害する特殊な糖タンパク質が含まれており、「α-アミラーゼ阻害剤」と呼ばれています。アミラーゼはデンプンを消化し、吸収可能なブドウ糖に変換し、最終的に熱を発生させます。アミラーゼの働きを阻害することで、デンプンは消化・吸収されなくなり、カロリーは生成されなくなります。そのため、インゲン豆タンパク質に含まれるこれらのα-アミラーゼ阻害剤は、「デンプンブロッカー」とも呼ばれます。

熟した白インゲン豆 |ラスバック / ウィキメディア・コモンズ

しかし、白インゲン豆は食べる前に長時間調理する必要があります。アルファアミラーゼ阻害剤は熱に安定せず、調理中に不活性になります。そのため、白インゲン豆を食べても「デンプンをブロックする」役割を果たすことはできません。

そのため、それを抽出して「ダイエット健康食品」として摂取するのが合理的と思われます。市場で人気の「白インゲン豆エキス」です。

実際の効果は見た目に美しくない

白インゲン豆エキスが減量に役立つというのは理論的には理にかなっています。そこで質問です。体重を減らすにはどれくらい食べればよいのでしょうか?減量にはどれくらい効果がありますか？

実際にそのような研究は数多くあります。初期の研究では、「減量効果」は断続的で、効果が出ることもあれば、出ないこともあった。近年、業界と科学界が抽出技術と減量実験設計の改善に精力的に取り組んできた結果、多くの研究で白インゲン豆の「減量効果」が実証されています。

白インゲン豆エキス |アンダーハーブ

ただし、最終的な減量結果には多くの要因が影響する可能性があります。たとえば、異なる実験では異なるメーカーの白インゲン豆抽出物が使用されるため、含まれる「アミラーゼ阻害活性」は異なります。さらに、減量実験の対象、投与量、期間によっても実験結果は異なります。

一般的に、これらの研究は一般の人々ではなく、肥満や太りすぎの人々に焦点を当てています。これらの研究で使用された白インゲン豆抽出物は、一般的に「アミラーゼ阻害活性」が 3000 IU/g でした (IU は、生物学的に活性な物質の薬理学的測定単位です)。参加者は1日あたり445～3000 mgを摂取し、摂取期間は4週間～84日間でした。

最終的に、参加者は1.8〜3.5kgの体重を減らしました。統計的な観点から見ると、この結果は「効果的」ですが、販売業者の「太ることなく好きなだけ食べることができます」という主張に比べると、見た目ははるかに劣ります。たくさん食べると、減った体重は簡単に相殺されてしまいます。さらに、多くの人がたくさん食べると、炭水化物に加えて脂肪もたくさん摂取しますが、白インゲン豆エキスは炭水化物にのみ作用します。

炭酸水に加え、鍋やバーベキューに含まれる脂肪分も過小評価してはいけません。 yukuaikuai / pixabay

製品の活性は不明です

また、白インゲン豆からの「抽出物」の製造は比較的複雑な工業処理プロセスであり、抽出物の「アミラーゼ阻害活性」は製造業者によって大きく異なる可能性があることを知っておくことも重要です。市場に出回っている多くの製品には品質管理基準すらなく、消費者は「実際の活性」がどれだけ高いかはおろか、「名目上の」活性がどれだけ高いかさえ知りません。

第二に、「白インゲン豆エキス」を添加している食品の多くは、「添加されている」とだけ謳っていますが、添加量がどの程度なのか、どの程度の活性があるのか​​、さらに加工する過程で活性が失われるかどうかなど、すべて不明です。

α-アミラーゼ阻害剤も、実験室で模擬された胃の環境では活性が大幅に低下します。 |参考文献 [2]

また、白インゲン豆エキスはでんぷん質の炭水化物にのみ作用しますが、減量の核心は過剰な脂肪、糖分、タンパク質などの摂取を減らすことです。食品に炭水化物があまり含まれていない場合、「でんぷんの消化を阻害する」ことはあまり意味がありません。さらに、ブドウ糖は人体にとって不可欠なエネルギー源です。体重を減らすために炭水化物をあまり食べず、それを抑えるために白インゲン豆エキスを使用すると、まったく食べていないのと同じになり、健康に非常に悪いです。

つまり、白インゲン豆エキスは主食を食べ過ぎている人には良いのですが、販売業者が宣伝している「食前に2袋飲んで、太る心配なく好きなだけ食べてOK」というのは完全に詐欺です。

減量の軌道に乗るために正しく食事をしましょう |ソントゥン57 / pixabay

適切な減量には、人体に必要な炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミンなどの必須栄養素を含む適切な食事が必要です。もちろん、最も重要なことは、さまざまな減量製品に盲目的に頼るのではなく、運動と組み合わせること、そして健康的な食事と運動の習慣を生活に取り入れることです。

参考文献

[1]ベンクトソン、エリン。 「SSR マーカーを使用した Phaseolus vulgaris L. のスウェーデン系統の分析」 （2009年）。

[2] ラン・イーフェン、チャオ・ウェイ、ヤン・ルイジン、ウー・リー、メン・ダンヤン。白インゲン豆α-アミラーゼ阻害剤の加工・消化過程における活性変化に関する研究[J]。食品産業科学技術、2015年、36(17):53-57。翻訳：伊藤 健太郎.

著者: 雲無心

編集者: 建二、マイマイ

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